2014年9月の個人山行報告

      

  2014年9月2日(火)〜5日(金)

雲ノ平(三俣蓮華岳・黒部五郎岳)

      

	北アルプス最奥の「雲ノ平」と黒部川源流を歩く。

[9月2日]
4:00集合、名神道・北陸道にて立山ICを降り。県道立山公園線で立山に向かう。
途中の有峰口より有峰林道に入り、薬師岳や雲ノ平の登山基地となる折立に11:00着。
 平田にもかかわらず、登山口前の駐車場は満車状態と人気のほどが伺える。準備を整え、今夜
の宿泊先、太郎平小屋に向かう。
標高差は1000m程、ガイドブックのコースタイムは4時間半。折立からは1 8 7 0m三角点ま
では樹林帯の登り。三角点ベンチからは草原となり、石畳みの道が延々と続くが、五光岩ベンチ
からは代わって今度は本道となり、やがて太郎平小屋に辿り付く。
 小屋では「雲の平」を取り囲む黒部五郎岳・水晶岳・薬師岳を一望、三俣蓮華の後ろには双六
岳が並び、鷲羽岳も祖父岳に重なり頭を覗かせてと大パノラマが待ってくれていた。

[9月3日]
 当初は、反時計周りで黒部五郎岳→三俣蓮華岳→鷲羽岳→雲の平を四泊五日で周回する計画
であったが、後半の天気が思わしくない。天気の良いうちにメインの「雲の平」だけにでも行っ
ておこうと、予定を変更し。5時半に太郎平小屋を出発、まず薬師沢小屋へ向かう。
 太郎平小屋からは一旦、薬師沢に下り、沢沿いを何度か渡渉しながら再び高度を上げて行く。
 河童が住んでいたというカベッケ原に至れば小屋はすぐ目の前。黒部川に架かる吊り橋を渡
れば、標高差は500m程ながらも、コースタイムで3時間20分の激登りが待っている。
 アラスカ庭園までは苔むした岩だらけの急坂!これでは、帰りに雨天になれば、この急坂を下
るのは難儀するし、沢の渡渉もあるので、「雲の平」からはピストンせず黒部五郎岳を経由して
太郎平への周回とし、鷲羽岳は断念して可能ならば翌日に折立まで帰ることにする。
 急坂を過ぎると本道が現れ、ほどなくハイマツやシラビソなどの針葉樹が広がるアラスカ庭
園の休憩ベンチに至り、ようやく「雲の平」の一端に足を踏み入れる。
 ここからは山頂を雲に覆われた水晶岳や黒部五郎岳を眺めながらの緩々かな傾斜の本道歩き
が高原の中を延々と続き、やがて「雲ノ平」の真ん中に立つ「雲の平山荘」が見えてくる。
 ギリシヤ庭園やスイス庭園では、咲終わったコバイケイソウ、ハクサンイチゲ、綿毛となった
チングルマなど数々の高山植物が広い高原の見渡す限り一面に大群落を作り。7月の花の最盛
期には周囲を囲む水晶岳・薬師岳・黒部五郎岳などの名だたる山々が作る大展望と広大な花畑と
がコンビネーションする、まさに北アルプス最奥の楽園と形容されるに相応しい、絶景が広がっ
ていたこと事が容易に偲ばれる。
 祖父庭園からは、三俣蓮華岳を目の前にしながら、祖父岳の中腹を、まだ少し雪の残る第一、
第二雪田と巻いて行くと。やがて、鷲が羽を広げた姿と称される、どっしりとした稜線が広がる
鷲羽岳の全容が姿を見せ、三俣蓮華岳とを結ぶ稜線の鞍部に小さく、三俣山荘も姿を見せて来る
るのだが、その手前には黒部川の谷が待ち構え容易には辿りつけない。
 急坂を下ると、そこが黒部川の源流点。飛び石伝いに黒部川源流を渡り、今日、最後の登りを
終え15時半、ようやく今夜の宿泊先である三俣山荘に着く。
9月4日]
 今日は、できれば折立まで下りたいと、まだ暗い5時前にヘッドランプを灯し出発。
 覆っていたガスが、やがて霧雨に。そして、ついには小雨となり、仕方なく雨具を着用。
 一旦、三俣蓮華岳に上がり、下れば五郎平の黒部五郎小舎だ。温かいコーヒーを飲んで休憩し、
五郎カールコースで黒部五郎岳へ向かうが、コースタイムは稜線コースと差異がないだけあっ
て、カール底部からは屑岩だらけの急な登りで「五郎の肩」に着く。肩からは空荷で山頂へ。
黒部五郎岳をケットし後は次第に強くなる雨、風の中をひたすら太郎平に急ぐだけだが。
コースタイムが雨で遅れている。このまま頑張っても林道ゲートが閉まる時間には間に合わ
ないと断念。あとは、もくもくと雨の中を太郎平小屋に向かい。 16時過ぎ、小屋に到着。

[9月5日]
 今日は折立に下るだけなので、ゆっくりと小屋で朝食をいただき、雨の中を6時過ぎ出発。
 三角点手前からはぬで雨にも関わらず、続々と登山者が上がって、対向に煩わしいほど。しかも
雨天なのにテット泊の装備を背負っている人が目立って多いのに感心していたら、簡易テントと水
だけを背負ったトレランの人にはビックリ、しかも双六岳を経て新穂高まで走ると聞いては開いた
口が塞がらずだ。 9時半頃に登山口に下り着き、麓の温泉で3口分の汗を流す。
 鷲羽岳を残し、その先の水晶岳にも未練が残るし、花の時期の「雲ノ平」も見てみたい、次に行く
なら新穂高から行きたいが、はてさて何時になる事か。それより、所詮は体力勝負。今の力では願望
だけで終わるのだろう、と自問しながら車のハンドルを握り、帰路につく。