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剣山(つるぎさん)
山容写真 装備 積雪期 無雪期 地 図

    登山データ
    所在地  美馬郡木屋平村、三好郡東祖谷山村、那賀郡木沢村の三村の村境に位置する。
    地 図  1/25000 [剣山] 
    標 高  1955m
    登山口からの標高差 見の越コース=550m  富士の池コース=750m  奧槍戸(剣山トンネル)=1600m

    交通(自動車)
    徳島〜見の越
    貞光経由 92km 2時間30分   穴吹経由 92km 2時間30分   神山経由 69km 2時間10分
    
    徳島〜富士の池
    神山経由 65km 2時間00分   穴吹経由 87km 2時間10分

    登山時間
    見の越コース  3時間15分  初級
    富士の池コース 6時間00分  中級
    奥槍戸コース  5時間15分  初級
    
    コースガイド
  1.見ノ越コース
   剣山登山道は見ノ越駐車場にに登山リフトもあるがそれを利用せず歩くコースを紹介したい。
   まず、駐車場少し手前の剣神社の階段から登り始める。鳥居をくぐり拝殿前を通り抜けると登山道に入る。ブナなどの原生林の
  中を行くと登山リフトの下を横切り左に道をとる。つづらおれを行くと45分程で岩の中に祀られている西島神社に着く。ここに
  吉川英治の「鳴門秘帳」で知られる幕府の隠密甲賀世阿弥が閉じこめられたという石牢がある。しばらく行くと西島野営場に着き
  剣山の頂上部が大きく見え次郎笈や三嶺も遠望できる。ここから西島登山リフト駅までは後一息である。西島駅にはトイレ、売店
  があり水も補給できる。一息入れた後再び登り始めると数分で分岐点に着く。左すれば頂上へ最短である刀掛ノ松コースであるが
  緩やかな右の大剣神社コースを登る。整備れた登山道を20分程登り大剣谷をまくと大剣神社に着く。神社の裏に御神体である巨
  大な石灰岩がそびえている。この後20分程樹林の中を登って行くと青い屋根の雲海荘の下に着き、その上が剣山山頂である。
   山頂一帯は緩やかな草原状でで平家の馬場と呼ばれている。ミヤマクマザサの中に設置されている木道を歩けば間もなく頂上に
  着く。頂上ではミヤマクマザサが踏み荒らされ、保全のため木道やロープを設けてある。植物群落に踏み入らないようお願いした
  い。頂上の1955m標識からはどっしり構えた次郎笈が見え徳島県の主な峯々を望むことができる。天気の良い日には遠く石鎚
  連峰、土佐湾、伯耆大山も望むことができる。
   頂上での大パノラマ展望を楽しんだ後、下山は刀掛ノ松コースをとる。頂上ヒュッテ横より下り始め、傾斜が少しきつい登山道
  を下って行くと20分で刀掛ノ松に着く。見事な白骨林が立っている。ここから西島まではすぐである。西島からは登ってきた同
  じ道を下り見ノ越駐車場に着く。
  
  2.富士池コース
   恒例の剣山の大祭が開かれる龍光寺の境内左から林道を登り、登山道に入るといきなり急登が続く。途中林道を横切った後ブナ
  林に入り約1時間で二又に分かれた分岐点、通称追分けに着く。追分けから右(西)にコースをとると行場を経て直接剣山山頂に
  至る。ここでは左(南)道を登り一ノ森へ向かう。しばらくブナ、カエデ、ミズナラ林が続くが、やがて針葉樹林帯になる。階段
  状の岩道にあえぐのも束の間、東側から展望が開け草原状のミヤマクマザサが現れる。ほどなく青い屋根のモダンな一ノ森ヒュッ
  テに到着する。
   一ノ森山頂は右手の斜面を登ったところにあり、周辺の山並みが見渡せる絶好のロケーションである。一ノ森は剣山一帯で日の
  出を最も美しく拝める山としても名高い。一ノ森からは西へ比較的起伏の少ない屋根道を二ノ森、経塚森を経て約50分で剣山山
  頂に着く。
  
  3.奧槍戸コース(スーパー林道)次郎笈経由
   次郎笈までは同項ガイドを参照して下さい。
   次郎笈山頂から西に尾根道を数百メートル行くと二股に分かれる(左ね西にとると丸石山)。ここから右(北)に延びた急降下
  稜線を忠実に下る。途中次郎笈北腹巻き道との左に見て歩くうちに剣山との鞍部になっている次郎笈峠に着く(左にとると西島を
  経て見ノ越へ下山する)。次郎笈峠からは根気よく数十分の急登をしんぼうすると待ちに待った剣山に到着、広い頂の真ん中にあ
  る一等三角点を囲んだ大きなケルンが目に飛び込んでくる。
  

    見所等
  剣山は徳島県の南西部に位置し、美馬郡木屋平村、三好郡東祖谷山村、那賀郡木沢村の三村の村境をなす山で、標高1954.7
  m、四国山地の東の盟主であり県下の最高峰である。また、西日本では愛媛県の石鎚山に次ぐ高山であり、古来から山岳信仰の山
  として栄えた。現在は三角の点あるピークのみを剣山と称しているが、古くは隣接する一ノ森、次郎笈を含めての汎称であった。
   山名は源平合戦のころに安徳天皇の剣を山頂に埋めた(祖谷紀行)、剣を大山祇命の社に奉納した(剣山由来記)ことによると
  も言われている。また、山の神体が剣形の巨岩である(阿波誌)ことにちなむ等の諸説があるが、いずれも山岳信仰に関係してい
  ると思われる。
   植物分布では、夫婦池、見ノ越、追分までは温帯植物区をなし、ミズナラの純林やヒメシャラ、ナツツバキ、ヨグソミネバリ、
  イタヤカエデ、ブナ等が自生する。西島神社、行場、追分上部からは亜寒帯植物区となり、ダケカンバ、ナナカマド、ミネカエデ、
  シコクシラベの純林等が自生する。頂上近くは樹木はなくミヤマクマザサが優占し、コモノギク、コガネギク、シコクフウロウ、
  イブキトラノオ等が所々に群落を形成する。
   動物では、シコクヒミズモグラ、アズマモグラもいる。カジカやサンショウウオも多い。ツルギサンマイマイ、ツルギサンゴマ
  ガイ、イヤヤマビキ等の陸貝も数十種確認されている。鳥類では夫婦池から上でシコクコゲラ、コノハズク、トラツグミ、ホシガ
  ラス等が生息する。
   剣山周辺の沿革としては、昭和39年3月に剣山を含む18,412haが剣山国定公園に指定され、昭和42年には丸笹山周
  辺の森108.9haが県民の森となり、また、同41年に国民宿舎剣山荘(現:ラホーレ剣山)、同44年に県民の森資料館が
  完成した。そして、同45年見ノ越から西島神社までの登山リフト、同52年剣山スキー場が次々に建設され、剣山は徳島市から
  日帰りのできる観光地に変貌をとげた。その最大の要因は、見ノ越までの自動車道路が貞光町、池田町、穴吹町、神山町から開通
  したことである。現在剣山への登山道は神山町、穴吹町、貞光町、池田町を起点として、それぞれ見ノ越しに至るコース、木沢村
  の奧槍戸からと概ね5コースがある。車を利用する場合はすべて見ノ越に集中するので、かっての表参道とされた木屋平村からの
  登山道はさびれた。現在見ノ越には剣神社、円福寺、平家落人遺品館(民営)、登山リフト駅、大型駐車場、食堂、売店、があり、
  民宿等かあり、夏山登山シーズンには連日大勢の人でにぎわう。
   また、昭和19年には頂上に剣山測候所が設置され、通年2〜3人の職員が常駐して観測を行い、日本でも数少ない山岳測候所
  として予報、防災、気象統計に重要な役割を果たしてきたが、平成13年にその役を終え閉鎖された。
   他にも頂上付近にはヒュッテ、宿泊所が2個所あり、観光化の波は環境破壊をもたらし、牧野林道問題や剣山スーパー林道の建
  設など大きな社会問題となった。さらに最近のアウトドアブームによって年々行楽客がふえ、かっては頂上一面に生えていたミヤ
  マクマザサが踏み荒らされ、山頂一帯の裸地化を懸念して「剣山の笹をよみがえらせる会」が結成され、自然保護団体や徳島県が
  協力して植生回復へ向け努力している。平成14年時点ではミヤマクマザサの回復のきざしが見られ、高山植物の植栽効果も現れ
  ているという。〔角川書店 日本地名大辞典 から一部引用〕
 
  宿泊施設
 剣山頂上ヒュッテ  営業期間 4月末日〜11月末日  電話 088−623−4533
 雲海荘       営業期間 4月末日〜11月末日  電話 088−622−0633
 一の森ヒュッテ   営業期間 5月1日〜10月末日  電話 0883−53−5911
 剣山頂上ヒュッテ・別館 雲海荘
 剣山登山リフト
 なお登山口見の越には民営施設が多数あり。
  
  避難小屋
 緊急時には登山リフト西島駅や大剣神社で避難可能。厳冬期には頂上ヒュッテ横の1坪強の小屋が使用可能(新居綱男氏所有)
  
  テント場
 @西島野営場  テント張数約 3  水場有り    A見の越駐車場    テント張数    水場有り
 B富士の池   テント張数     水場有り    C一の森ヒュッテ周辺 テント張数 4  水場有り
  
  水場
 @リフト西島駅(春夏秋) A大剣神社下部(春夏) B遊歩道コースAから数百m南(春夏) C追分け(年間)
  
  トイレ場所
 見の越  富士の池  リフト西島駅  頂上ヒュッテ  一の森ヒュッテ
  
  医療機関
  田村医院     一宇村赤松1322−9  電話 0883−67−2016
  木屋平村診療所  木屋平村川井295    電話 0883−68−2541
  東祖谷クリニック 東祖谷山村京上70−3  電話 0883−88−2300
  
  道路情報等
  徳島県脇町土木事務所 電話 0883−52−2211
  一宇村役場      電話 0883−67−2111
  木屋平村役場     電話 0883−68−2111
  東祖谷山村役場    電話 0883−88−2211
  
  冬期(積雪期)登山情報、注意点
  1.剣山は南国の山であるが2000m近いので天候状況が冬型気圧配置になれば数メートル積雪することも珍しくない。一般的
   には12月〜2月までが剣山の厳冬期とされ、冬山完全装備が必要なことは言うまでもない。
  
  2.見ノ越コース
   @駐車場上部(夏道の見ノ越峠から約100m周辺)の斜面は積雪が多く雪崩の危険があると判断した時はトラバースせず、峠
    から尾根筋(ブナ林の中)にいり通過するか雪の落ち着くのを待つこと。
   A西島からは絶対に谷筋の夏道(大剣神社や遊歩道コース)を使用しないこと。刀掛尾根を通り山頂部山頂部への取り付きも雲
    海荘横に出るコースをとること。
   B山頂部(平家の馬場)で風雪やガスに視界をさまたげられた時は要注意。木道を利用して三角点を踏むこと。
  
  3.富士ノ池コース
   @通常、追分から上部は積雪が急に多くなる。一ノ森手前から右(西)への巻き道(剣山への近道)には雪崩の危険があるので
   絶対に入らないこと。必ず尾根筋(一ノ森ヒュッテ前から山頂を経由)を伝い剣山山頂へ向かうこと。
   A一ノ森から剣山々頂の間に雪庇(部分的)が発達している場合は要注意。
  
  4.次郎笈コース
    夏道は避けて稜線を進む。次郎笈峠(絶対に北西斜面トラバース道には入らないこと)からのやせ尾根は雪庇が発達すること
   が多く危険。滑落すると助からないかも知れない。